「心に届く矢」

史記の李広伝に次のような話があります。
 『昔、漢の国に李広という勇将がいました。
彼は狩猟の最中、草陰の中に虎のような石を見つけたので、思わず弓で射てしまいました。そして、李広は射たのが石だと気づくのですが、その石には矢じりがめりこみ、見えなくなっていました。石を射ることもできるのかと思った李広ですが、もう一度射てみても、矢がめりこむことはありませんでした。』
 この故事を由来とし「石に立つ矢」という言葉があります。意味は、どんなことでも一念を込めて行えば必ずできるということのたとえです。
 私たちは、困難にぶつかったとき、その困難の大きさによってあきらめてしまうことがあります。自分の力とその困難を比較して、あきらめるという判断を下すことは、決して間違いだとは思いません。しかし、忘れてはいけないことは、困難の大きさを決めているのは、自分であるということです。乗り越えられるはずの困難におびえて、あきらめてしまっているのかもしれないということです。
 皆さんは、これから自分の未来を切り拓いていかなければなりません。その途中で、大きな困難に遭遇することがあるでしょう。その時、おびえて、あきらめる前に、一念を込めて矢を射てみましょう。その矢が、「石に立つ」かどうかは分かりません。しかし、一念を込めて射れば、必ず、皆さんの周りの人たちの心には届きます。
 あきらめる前に、「心に届く矢」を射ることが自分の未来を広げることになります。

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